勝真太郎のウエスタンラリアット
連載第一回
  「勝 真太郎のウエスタンラリアット」  
   
   のっけからナンなのだが、この連載はとてもカゲキである。どんな風にカゲキだというと、それを説明しているだけで軽く1年が終ってしまうくらいにカゲキなのだ。
 さて、そんなわけで、いきなり本題に入ってしまおう。あなたはクルマで道を走っていて、アタマにくることはないだろうか。
 もし、いつも平静を保って運転していられるなら、あなたはケーサツには表彰してもらえるかもしれないが、私はあなたをバカと呼ぶだろう。なぜなら、これほど矛盾に満ちた路上に出て、周囲に憤りを覚えないということは、あなたが運転中に1mmもアタマを使っていないことの証明。つまり、おめでとう、あなたも路上をグチャグチャにしてくれているバカの一員に他ならないのだ。
 次に、青筋立ちっぱなしで、脳ミソは沸騰しっぱなし、というあなた。うんうん、その気持ちは痛いほどわかるぞ。だが、もしかしたら貴兄の立腹は、自身に非があるやもしれぬ。制限速度で走っているのに後続車にアオられた、とか、ウインカー出してるのに列に入れてくれないとか、そりゃオメーが悪いんだよ、オメーが、なのである。
 なわけで、来月から、ありがたい標語とともにテーマを絞って交通環境の問題点を指摘していく。平たく言えば、走る邪魔者を吊し上げていくのだ。追越し車線をジュズ繋ぎになって走るサンデードライバー。トンネルの入り口でブレーキを踏んでしまう若葉マーク。ゲタでも履いた気分で田ンボに向かう、農作業の軽トラ。交差点の曲がりっぱなに平気で二重駐車する宅配トラック。パッシングされたときだけポテンシャルを発揮するGTーR。まさに無法の極悪非道タクシー。
   うーん、まだまだあるぞ。処理能力の低い、工事現場のバイト整理員。信号が黄色になって、ブレーキを踏んで後続のみんなを止めながら、自分だけは行っちゃう奴。ゆずり合いとカン違いして、悪質な割り込み車を入れる奴。おまけに、手なんか上げちゃったりして……。あーもう、みんなまとめて吊してやるから、手でも洗って待ってろ。って、そりゃ首だな。
 とにかく、私が正しい。すべてのドライバーが私の言うとおりにすれば、狭いニッポンもアウトバーンのごとく走りやすくなるのだ。つまり、この連載は、混迷を極める日本のモータリゼーションに与えられる、福音書なのである。ラーメン。
 では、来月を心して待て。ちなみに次号の標語は「ヘタクソ一台、渋滞3キロ」である。
 
 
「勝真太郎のウエスタンラリアット」
月刊ガルヴィ(実業之日本社)
1992年4月号掲載